過去連動あり2026-06-10 公開
訪日外客数と一緒に動く株はどれか——23年分のデータで測った
JNTO(日本政府観光局)が毎月15〜20日頃に公表する訪日外客数。「インバウンド関連株」と呼ばれる銘柄は本当にこの統計と連動しているのか、2003年からの23年分・280ヶ月のデータで検証しました。
検証方法
- 指標:JNTO「訪日外客数(総数)」月次(2003年1月〜2026年4月、280ヶ月)
- 銘柄:三越伊勢丹HD(3099)・高島屋(8233)・Jフロント(3086)・資生堂(4911)・PPIH(7532)・JR東日本(9020)の月次終値
- 両系列を前年同月比(YoY%)に変換し、ラグ0〜6ヶ月で相関を走査
- COVID期間は訪日客が前年比-99%という極端な値になるため、2020〜2023年を除外した3つの期間(コロナ前16年/2024年以降/全期間コロナ除外)で別々に検証
結果:百貨店・ドンキ・JR東は連動、資生堂は意外にも弱い
| 銘柄 | 2024年以降 (n=28) | コロナ前16年 (n=192) | 全期間コロナ除外 (n=220) |
|---|---|---|---|
| PPIH(ドンキホーテ)7532 | 0.69 | 0.27 | 0.31 |
| 三越伊勢丹HD 3099 | 0.53 | 0.37 | 0.41 |
| JR東日本 9020 | — | 0.43 | 0.39 |
| Jフロント 3086 | — | 0.40 | 0.38 |
| 高島屋 8233 | — | 0.38 | 0.35 |
| 資生堂 4911 | — | 0.30 | 0.14 |
コロナ前の16年間(n=192)で相関0.4前後という値は、サンプル数を考えると統計的に頑健な連動です。特に2024年以降はPPIH(ドン・キホーテ)が0.69、三越伊勢丹が0.53と、免税売上の比重が高い銘柄ほど強く連動しています。
2つの発見
発見1:最も強いラグは一貫して「0ヶ月(同月)」でした。つまり訪日統計は株価を「予言」するのではなく、株価と「同時に」動いています。統計の発表は翌月15〜20日なので、発表時点では株価がすでに動いている可能性が高い。統計を使う価値は「先回り」ではなく、月次の答え合わせと、どの銘柄が本当にインバウンドで動くのかの選別にあります。
発見2:「インバウンド株の代表」とされる資生堂は、コロナ除外ベースで相関0.14とほぼ連動していません。同社の業績は中国本土の消費や構造改革要因の影響が大きく、訪日客数だけでは説明できないことがデータから示唆されます。「関連株」というラベルと実際の連動は別物です。
結論
訪日外客数とインバウンド関連株の連動は実在し、定量化できます。ただし銘柄によって強弱がはっきり分かれ、ラベル通りに動かない銘柄もある——これが23年分のデータが示す姿です。
基準日:2026年6月10日。相関は因果関係を保証しません。本記事は統計データの検証結果を示すもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。n=28の期間の数値は標本が小さい点に留意してください。
出典:JNTO 訪日外客統計/株価データはYahoo Finance(月次・調整後終値)